
警視庁の警察官が匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」のメンバーに捜査情報を漏えいした疑いで逮捕された事件。
車の後部座席に座り、職場である警視庁本部に入るのは、暴力団対策課・警部補の神保大輔容疑者(43)です。
国内最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」の捜査をしていた経験がある神保容疑者。
メンバーに捜査情報を漏えいした疑いが持たれています。
その後の関係者への取材で、2025年4月から5月ごろから内偵捜査が始まったとみられることが分かりました。
警視庁内部では、以前から情報漏えいが疑われている兆しがあったとフジテレビ社会部・警視庁キャップの山下高志記者は説明します。
山下記者によると、今回の事件との関わりは分かっていませんが、1月に検挙を目指していた「ナチュラル」のメンバーが、着手の直前に突然姿をくらますということがあったといいます。
当時、捜査員の間では「こんなタイミングで逃げられるなんで…絶対に情報を漏らしているやつがいる。じっこんの仲になっているやつがいるはずだ」といった声が上がっていました。
この件と神保容疑者との関連は明らかになっていません。
警視庁によりますと、神保容疑者は「ナチュラル」の関係者が使う特殊なアプリを使い、捜査のために設置していたカメラの画像を送った疑いがあるということです。
神保容疑者が使っていたアプリと同一かは分かっていませんが、「イット!」が9月に放送した「スポットライト」では、ナチュラルのメンバーが使用していたアプリの全容を撮影していました。
「ナチュラル」現役メンバー(9月放送「スポットライト」):
捕まらないようにする対策法だったり、もし逮捕されてしまった時、適切な対応ができるように共有しています。運営からの通達みたいなものです。
「Chat Alpha」と書かれた、このアプリ。
開いてみるとニュースアプリのように見えます。
これは「ナチュラル」が独自に開発したアプリで、全てのメンバーのスマホにインストールが義務付けられ、内部での情報共有に使われているといいます。
このアプリを巡っては、千葉県の家宅捜索の情報が漏れていた可能性があることがフジテレビの取材で分かりました。
アプリには「千葉の4~5店舗に7月13日、14日どちらかでガサが入るとのリーク情報が入りました」という内容が記載されており、その後、実際に千葉県警は家宅捜索に入り、関係者数名を逮捕しました。
警察の捜査情報が事前にトクリュウ側に伝わっていた可能性について、千葉県警は「投稿や証言を承知していないのでお答えできません」とコメントしています。
一方、神保容疑者の逮捕を受けて、警視庁にも衝撃が広がっています。
10月、トクリュウの事件に関する分析や捜査を集中的に行う「特別捜査課」などを新たに設置し、大規模な組織改編を行ったばかりの警視庁。
出鼻をくじかれた形となった捜査幹部からは「本当にガッカリという言葉でしかない。警視庁、捜査員全員への裏切り行為で許せない」という声が聞かれました。
取材した山下記者は「今回は取り締まる側の捜査員が逆にトクリュウに取り込まれていた形で、警視庁がトクリュウ壊滅に向けて注力する中、情報管理の徹底がより求められています」と話しています。