
今、新たな手口によるLINEの乗っ取り被害が相次いでいます。
千葉市に住む60代のAさんも11月7日、被害に遭った1人です。
LINE乗っ取り被害に遭ったAさん(60代):
すごく巧妙な手口だなと思って。善意を利用するものなんでしょうが、本当にひどい。
LINEが乗っ取られたきっかけは、インスタグラムのダイレクトメッセージでした。
Aさんは「友達のお子さんの絵画コンテストに投票していただけますか?数分で完了します」というメッセージの送り主が、知人のBさんと同じアイコンと名前だったことから「いいですよ!」とすぐに応じました。
しかしメッセージの送り主は、Bさんに成り済ました別のアカウントだったのです。
Aさんに送られてきたのは、実在するコンクールを装ったサイトのURL。
投票のため、LINEとの連携を求められました。
LINE乗っ取り被害に遭ったAさん(60代):
「投票するためにLINEに飛ぶんだ」くらいにしか思っていなかった。何の疑いもなく電話番号とパスワードを入れてしまい、認証番号も入れてしまった途端に私のLINEが自分では入れなくなって。
怪しむことなく、電話番号やパスワードなどを入力。
するとその情報が悪用され、AさんのLINEが乗っ取られてしまったといいます。
そして、複数の友人に勝手に送られてしまったメッセージは「今、お暇ですか?」「PayPayは使えますか?」「親戚の急な用事があって、ちょうど送金限度額に達してしまい、振り込めません。20万円、代わりに振り込んでいただけますか?明日の朝一番に返しますので」というものでした。
こうしたメッセージを受けた友人の中には、実際に振り込んでしまった人も。
LINE乗っ取り被害に遭ったAさん(60代):
LINEで10万円送ってくれた人がいる。お友達にお金を使わせてしまったし、自分がパスワードを入れちゃったのが悪いけど、善意を詐欺に使うなんて本当にひどい。
九州地方に住む会社役員の男性は11月3日、同じ投票を呼びかける手口でLINEを乗っ取られ、対応に追われました。
LINE乗っ取り被害に遭った会社役員男性:
パニック状態というのか、とにかく連絡が取れる人に連絡をつながないといけないと思い、一睡もしない状態で次の日は仕事に行った。
SNSを使い慣れた会社役員もだまされる巧妙な手口。
「今、お手隙いらっしゃいますか?」というメッセージを見た男性は、日本語の違和感について「眠りかけていたような時間だったので、気付くことができなかった。自分がだまされるとは思わなかった」と話しました。
さらに大学院生が、LINE乗っ取り犯と次のようなやり取りを交わしていました。
LINE乗っ取り犯:
いまお忙しいでしょうか
大学院生:
今日の今なら、少しぐらいなら
あ、送り間違い?
LINE乗っ取り犯:
PayPay使えますか?
大学院生:
???
相手の文体は最初は敬語でしたが、「支払いしたいのにPayPayの残高が足りないから2万円貸して欲しい。明日の朝にお金返すから」と大学院生に合わせて、いわゆる“タメ口”にシフト。
このやり取りを見て、専門家は新たな詐欺の特徴だと指摘しました。
ITジャーナリスト・三上洋さん:
LINEにはメッセージのAI(人工知能)機能がある。先輩ならば丁寧に、同僚ならば仲良くという表現をAIが作ってくれる。
続けて大学院生の指摘に、驚きのワードが。
大学院生:
乗っ取りとかじゃなくて?
LINE乗っ取り犯:
ハイジャックはしていません
乗っ取りを「ハイジャック」と衝撃の誤変換。
これもAIゆえでしょうか。
乗っ取り被害についてLINEの運営会社は、「LINEの登録情報や認証番号を聞き出したり、画面に入力させたりする行為は全て詐欺です」としています。
ヘルプセンターでは、詐欺画面の例を示して注意喚起しています。