「NHK紅白歌合戦」若者が見なくなったと言われるのはなぜだと思いますか?

紅白歌合戦は宣伝のため?(C)日刊ゲンダイ

紅白歌合戦は、若者が見なくなったのではないと思います。正確に言えば、あまり誰も生放送では見なくなったのではないでしょうか。もっと言えば、NHKですらあまり生放送で見てもらいたいとは思っていないと思いますよ。出演者一覧を見てもらえれば分かります。

出演者の出演回数を見てもらうと、大部分が1ケタで、あとはだいたい「20回越えのベテラン」ばかり。明らかに「お年寄りと若者だけを意識したキャスティング」と言えるでしょう。でも、これじゃ誰も生放送で最初から最後まで見ようとは思わないはずです。

まずはお年寄り。知ってる顔が間に挟まってはいるものの、大部分は「誰だこれ?」という人しか出てきません。「どの出演者を見ても、知らないしおんなじような感じの人ばかりで、見分けすらつかないよ」という人がまあ6〜7割です。眠くなって途中で寝てしまうか、はじめからお年寄りにターゲットを絞ったテレ朝の『ザワつく!大晦日』ないしはテレ東の『孤独のグルメ大晦日スペシャル』あたりに雪崩をうってチャンネルを変えるでしょうね。

■狙いは「NHK ONE」の利用者を増やすための話題性

30代〜50代くらいの視聴者にとっても、極端に「若者&高齢者シフト」で編成された番組はなかなかつらそうです。グルメ好きはテレ東へ、お笑い好きはフジへ、TBSは何をやるのかまだ分かりませんが、その3局あたりを見たほうが楽しそうですよね。

じゃあ若者が生で見るのかというと、まあ見ないでしょうね。そもそも家族と一緒にテレビを見たりしませんよ若者は。せいぜい配信であとで見るくらい…というか、それがNHKの狙いなわけですよ。もうはっきり言ってNHKは紅白で高視聴率を稼ごうとは思ってません。生で見てもらうより、話題になるような演出をして、あとから配信で見てほしいわけです。

要は10月に始まったばかりの「NHK ONE」の利用者を増やしたいというのと、「若者にも受信料を将来にわたって払い続けてもらうために、『配信でも面白いコンテンツを提供してますよ』とアピールしたい」というそれだけのためにNHKは紅白をやるというのが本音ではないでしょうか。

もうNHKは紅白という「超有名ブランド」のブランド力を使って「自分たちの都合の良い施策」をやろうという意識しかないと思います。各事務所に「NHKに貢献すれば出演させてあげる」という「行政」をやるとか。自分たちの新サービスをアピールするとか。「やってます感」を出すとか。

かつて「年末に家族揃って見る番組」として日本中のご家庭の年中行事となっていた紅白は、もはやNHK自身の手によって破壊され、「NHKがいろんなことを宣伝するいい機会」として最大限活用されているのだろうと、私は思っています。

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