中国で“美顔信仰”が過熱気味だ。容姿の良しあしを評価する「顔値(顔面偏差値)」という言葉も定着。就職活動や職場で競争を有利に進めるために美容整形を受ける若者も多く、診療者数はここ10年で急増。医療ミスで死に至る事例もあり、当局は無資格で手術を施した診療所を摘発するなど規制を強めている。
「鏡で美しくなった姿を見ると力が湧く」。中国の電子商取引(EC)大手で勤務する女性(30)は、しわの除去や脂肪吸引のために美容整形の診療所に足しげく通う。費用は年間約2万元(約40万円)に上るが「友人は年に10万元を使っている」と意に介さない。
中国衛生当局の統計によると、美容整形の医療機関の診療者数は2013年の延べ約170万人から22年には約1250万人に増加した。
美容整形市場が拡大するにつれて医療機関が乱立。医療事故も深刻化し、中国メディアによると、19年には後遺症が出たり死亡したりする事故が10万件近く起きた。中国消費者協会は、安易な整形に走らないよう注意を促している。
2024年12月14日
中国で「顔の偏差値」競争過熱 就活有利、美容診療者が急増
中島恵:ジャーナリスト
見解 中国で「顔値」という単語は7~8年くらい前にかなり流行りました。人の外見のよさにも使いますが、ものの写真を撮ってSNSで「映える」というときにも「顔値高 (顔値が高いね) 」と言ったりします。若者の就職事情が非常に厳しいため、少しでも見た目をよくしたいという気持ちはわかりますが、美容整形のトラブルは絶えず、取り返しのつかない失敗などもあり社会問題になっています。裕福な人は技術の高い日本に美容整形のためにやってきたりしています。
浦上早苗:経済ジャーナリスト/法政大学MBA実務家講師
見解 「顔値」は人だけでなく物にも使われます。SNS映えが重視される社会になったのと、物が充足して差別化が難しくなり、見た目で引き付けないと埋もれてしまうからでしょう。
高口康太:ジャーナリスト、翻訳家
補足 中国ではまだルッキズムに対する規制が弱く、求人広告にも「五官端正」(容姿端麗)であることといった項目が普通に掲載されています。就活写真の加工も広く行われていますが、さらに一歩進んで美容整形で就職を有利にしたいと考える人も多いようです。
美容整形すると、画像や映像越しには綺麗に見えるのですが、実際に目の前で生で見ると整形バレバレ・・・といったケースが多いです。
特に、中国ではやり過ぎる傾向があるため、顕著だと思います。
それに、その後何十年もメンテし続けないと、中高年以降崩れてくるのですが、そういった事を考えず、手っ取り早く良い思いをしたいから、手を出すのだと思います。
人生は思ったよりも長いです。後々の事を考えると美容整形はあまりオススメできません。
美容整形って、自信を持つための手段のはずなのに、逆にみんなと少しでも違っていたら、ダメだっていう風潮を作っているような気がする。
美容整形って、リスクもあるし、お金もかかる、それでもするってことは、それだけ外見に価値が置かれているってことだけど、でも、本当に大切なのは、外見ではなくて内面だと思う。
このような背景を考えると、改めて「美」の基準とは何なのか、ということを問い直す必要があると感じます。結局のところ、美に対する社会的な圧力ではなく、個々人が、自分自身にに対してどれだけ自信を持てるようになるかということが、大切なことではないでしょうか。
美しくありたいと願い、努力するのは問題ではない。ただ自分の考える美の基準に当てはまらない人、達しない人を差別したりするのは誤りである。
あとルッキズムの問題点は、誰が美の基準を決めるのかという所にある。自分では自分のことを美しいと思っていても、他の文化圏(例えば欧米白人社会)に行くと美の基準が違っていて、アジア人である自分が差別される側になることもあることを自覚しておいた方が良い。
多様性の時代なわりに外見だけは平均以上を求めるのってどうなんかなと思う。
いろんな顔の人がいていいし、万人受けする顔じゃなくてもそれでも自分をもっていて自分の良さ悪さを知ってる人のほうが魅力的だと思うし、みんな同じ顔で髪型で服装でってほんとにつまんない。
その点韓国や中国じゃなくて日本に生まれて良かったなと思うし若い子たちにもそういう気持ちを持ってほしいと思う。