タイ当局は18日、リゾートとして有名な「パタヤ」を拠点に特殊詐欺を繰り返したとして、日本人の男5人を拘束したと発表しました。日本の高齢者を狙っていたとみられ、「ゆっくり、聞き取りやすく」などと書かれたマニュアルも押収されています。
タイのリゾート、パタヤで特殊詐欺グループ摘発の瞬間を捉えた映像には、タイ当局の関係者が部屋をひとつずつ確認していく様子が映っています。
「警察だ、伏せろ」
銃を手に、男を取り押さえます。
タイ当局は、特殊詐欺の拠点とみられる2か所を捜索し、20代から40代の日本人の男5人を拘束しました。突然踏み込まれたからでしょうか、首に枕をつけたままの男や、両手を上げ呆然とする男。さらに、うずくまる男も確認できます。
5人は、日本の高齢者に電話をかけ、医療費の還付があるなどとウソを言って、金をだまし取っていたとみられています。
杉道生記者・NNNノンタブリ
「拠点から押収された証拠品には、中には詐欺のマニュアルのようなものも含まれています」
押収されたマニュアルには、「ゆっくり、聞き取りやすく」「過去3年間でお支払いをした医療費の一部がお戻しできるといった内容となっております」などと、電話をかける際の定型文のような文章が。
男らは、銀行員や区役所の職員・警察官などを名乗っていたとみられ、手書きのメモの中には、「ケーサツであることを認識させる為に、裁判所とかの話をする」などと書かれていました。
さらに、証拠品の電子端末に保存されていた動画には、日本語で被害者とみられる人と電話をしている様子も映っていました。
男
「申請書を出されてない方にもお金をお戻しできるように、期限外の手続きもちゃんとありますので…」
マニュアルを見ているのでしょうか、タブレットを操作しながら電話をかけていました。
入管当局の会見
「日本に住んでいる高齢者ばかりを対象としています」「生年月日・電話番号・氏名、配偶者の氏名、銀行名・口座番号・残高まで情報を持っています」
拠点から押収された個人情報のリストは、約5万人分。入管当局は詐欺グループが、1日に約2400万円をだまし取っていたとしています。
5人は今後、日本に送還される見通しです。
たびたび、特殊詐欺グループの拠点とされるタイのパタヤ。
5年前にも日本人15人が摘発される事件が起きていました。そのメンバーの1人、吉田健人容疑者(28)は日本国内で逃亡を続けていましたが、大阪市内に潜伏していることがわかり、17日に逮捕。この事件では、これまでに26人が有罪判決を受けています。
なぜパタヤが拠点となるのか、組織犯罪に詳しい元警視庁警視の櫻井裕一氏は、リゾートならではの理由があるといいます。
元警視庁警視 櫻井裕一氏
「(Q.なぜタイ・パタヤが拠点?)リゾートだと、日本人がうろうろしてても、全く疑われない。怪しまれないというのは一番の利点だと思う。日本人が観光に来ているんだな、程度にしか思わない。向こうから日本にかけ子として(電話を)かけるのに時差が少ない。2時間しかないので、かけ子としてだましやすい。時間的にずれがないので」
櫻井氏は、電話でお金の話が出た時点で、疑うようにする必要があると指摘しています。
(2024年12月18日放送「news zero」より)
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