「全国豊かな海づくり大会」に出席するため11月に大分県を訪問された天皇皇后両陛下。
両陛下が大分空港に集まった人々に手を振り、歓迎の声を受けられた数時間前、空港にいたのは、皇室の方々の護衛や警備を担う皇宮警察の警察犬です。
令和になってから国内外の情勢を踏まえ、警備の徹底のため、警察犬も両陛下のご訪問に合わせて地方に出張し、任務に当たっています。
皇宮警察犬はどのような訓練を受けて活動しているのか、今回初めて、その最前線の取材が許可されました。
皇居内にある皇宮警察の訓練施設。
そこにいたのはジャーマンシェパードのカペル号(5)です。
コンビを組むのは29歳の松井大氣巡査部長。警察犬担当では最年少です。
松井皇宮巡査部長:
(学生の頃に)一般参賀とか一般参観で皇居に来る機会が多かった。そのときに警備に当たっている皇宮護衛官の姿を見てかっこいいなと。
松井さんは研修などを経て、2023年の春から警察犬の担当に。
カペルとコンビを組むことになりました。
訓練は、命令に従って基本的な動作をこなす服従訓練からスタート。
カペルは人間でいうと50歳ほど。
皇宮警察犬の中ではベテランで、しっかりと指示に従います。
爆発物のにおいがするものを隠した車。
においのありかをすぐに探し当てます。
訓練後には、大分への出張を前にカペルにシャンプーをします。
カペルのシャンプーも済んで、準備は万端。
両陛下が大分を訪問される当日。
松井皇宮巡査部長:
おはようございます。いよいよ(全国豊かな海づくり大会)本番です。
今回の任務は、両陛下が訪問される場所に危険物などが隠されていないかを事前に探すことです。
カペルが向かったのは、「全国豊かな海づくり大会」のメイン行事、両陛下が海に稚魚を放流される会場です。
両陛下が実際に稚魚を放流される放流台。
薄暗い放流台の下を、カペルはライトの光と松井さんの声かけを頼りに、金属の骨組みや配線の中を進んでいきます。
落ちていた手袋を発見し、異常がないかを確認します。
さらに、放流台の下には設営業者が使う工具やホースが置いてあります。
カペルがにおいをかぎ、不審な点がないことを確認しました。
さらに階段を上がって、放流台の上もくまなくチェック。
その後も、会場内の隅々でにおいをかぎ、危険物がないかを確認して会場の検索が終了しました。
松井皇宮巡査部長:
よーし、お疲れさま。よくやった!
松井さんとカペルが安全を確認した数時間後、海づくり大会で両陛下が地元の高校生から受け取ったマコガレイやマダイの稚魚を放流されました。
松井皇宮巡査部長:
私たちの仕事というのは普段見えないようなものですが、何もないということを前提に、両陛下が無事に行事を終えられたときにほっとする一瞬が待っているので、そのために頑張っている。