朝日「批判を受けての変更でない」台湾有事巡る首相答弁記事 見出し修正で物議

朝日新聞東京本社
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この記事は、朝日新聞が台湾有事に関する高市早苗首相の答弁の見出しを修正したことについて報じています。中国の駐大阪総領事の過激な投稿がSNSで話題となり、見出しが「認定なら武力行使も」から「武力攻撃の発生時」に変更されました。朝日新聞は修正が総領事の投稿によるものではないと説明していますが、これに対する批判がSNSで広がっています。記事は、メディアの報道が国際関係に与える影響の大きさと責任の重要性を強調しています。

朝日新聞は、台湾有事に関する高市早苗首相の答弁を巡って中国の駐大阪総領事が「その汚い首は躊躇もなく斬ってやる」などと投稿したX(旧ツイッター)に引用された配信記事について、産経新聞の取材に当初の見出しを修正したと明らかにした。この修正はSNS上で物議を醸している一方、同社広報部は薛氏の投稿を受けた修正ではないと説明した。産経新聞に対する回答は以下の通り。

産経新聞の取材に対する朝日新聞の回答全文

「政府が存立危機事態と認定した場合、集団的自衛権に基づく武力行使が可能になります。当初の『高市首相、台湾有事≪存立危機事態になりうる≫認定なら武力行使も』とのデジタル版の見出しはその点を表現したものです」

「ご指摘の記事は、記事の履歴にある通り、初報を11月7日15 時57分に配信した後、記事本文と見出しを同日21 時58分に更新しました」

「見出しに『なりうる』と『認定なら』という仮定の表現が重なっていることを解消するとともに、どんな場合に存立危機事態と認定されるかを説明するために『高市首相、台湾有事≪存立危機事態になりうる≫ 武力攻撃の発生時』と見出しの一部を変更しました」

「翌日の朝刊紙面に向けた編集作業の過程で、デジタル版もあわせて記事の内容や見出しを更新したものです」

「反響が広がったご指摘の投稿は11月8日夜のものと認識しており、時間の前後関係からもご理解いただけると思いますが、批判を受けて見出しを修正したものではありません」

朝日新聞のネットニュースの速報タイトル(見出し)をめぐっては、「認定なら武力行使も」から「武力攻撃の発生時」にひっそり修正していたことについて、東京・杉並区議会議員の小林ゆみ氏が19日、自身のX(旧ツイッター)で指摘。SNS上では小林区議の「しれっと訂正するな!」との痛烈な批判に賛同する声がSNS上で広がっていた。

小林区議は投稿でこう指摘した。

SNSで拡散した杉並区議の指摘と朝日新聞の見出し修正

朝日新聞❗️

中国の薛剣(セツ・ケン)駐大阪総領事が反応し国際的な緊張が生じた朝日新聞の記事タイトルを、しれっと訂正するな❗️

速報版では、高市首相が中国に武力行使もあり得ると発言したように読める。

朝日新聞のせいで中国が過剰反応したのではないか。

戦前も今も、戦争したいのは朝日では?

中国の薛剣(せつけん)・駐大阪総領事が、自身のXで、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と高市首相に対する問題発言を投稿(後に削除)した際に引用したのが、〈高市首相、台湾有事「存立危機事態になりうる」認定なら武力行使も〉とした、朝日新聞デジタル版のニュース見出しだった。

それが、朝日新聞デジタル版のニュースでは、〈高市首相、台湾有事「存立危機事態になりうる」武力攻撃の発生時〉と修正されている。

「認定なら武力行使も」と、「武力攻撃の発生時」では、全く意味が違うのは一目瞭然で、小林区議はこの双方の見出しのスクリーンショットを添付した上で、上記のキーワード2つを「before」「after」とわかりやすく赤線で囲った上で、厳しく追及したものだ。

小林ゆみ区議「記事タイトルをしれっと訂正するな!」

この投稿は瞬く間に拡散し、20日午後4時現在199万超の閲覧を記録している。

事の背景は、高市早苗首相の国会答弁に遡る。11月7日の衆院予算委員会で、高市首相は台湾有事が「存立危機事態」になりうるという従来の政府見解を繰り返した。これを朝日新聞が速報で報じたところ、当初の見出しが先制攻撃を連想させる表現となり、中国側に波紋を広げた可能性がある。

修正後の見出しは「高市首相、台湾有事『存立危機事態になりうる』武力攻撃の発生時」となり、混乱を招いた「認定なら武力行使も」の部分が削除されていた。このサイレント修正が、朝日新聞の報道姿勢に疑問を投げかける形となった。小林区議の投稿はこうした経緯を的確に捉え、X上で共感を呼んだ。

中国外務省は19日、日本産水産物の輸入を事実上停止。中国メディアは報復的に沖縄の主権を疑問視する論調を展開し、日中関係は一気に冷え込んでいる。

門田隆将氏、峯村健司氏らSNSで広がるメディア批判

X上では、小林区議の投稿に対し、朝日新聞の姿勢を非難する反応が多い。著名人からも厳しい声が相次いだ。作家の門田隆将氏は、小林区議の投稿を引用し、「ここへ来て“戦争を煽る朝日新聞”が話題に。薛剣大阪総領事が反応した朝日のタイトルが間違いで、あとになって“しれっと訂正している”という話。速報版では高市首相が中国に武力行使もあり得ると発言したように読めるが、後になって訂正している。“戦前も今も、戦争したいのは朝日”との見解に深く頷く」と投稿した。

元朝日新聞記者で、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員のジャーナリスト、峯村健司氏も、「これはダメだろ」と短く非難。また、埼玉県議会議員の諸井真英氏は、「アサヒ得意のご注進報道。火のないところに放火。サンゴは大切に。」と皮肉を交えてコメントした。

一般ユーザーからも同様の声が上がっている。

「朝日はどうして日本を苦しめる国際問題を作り出すんだろう」

「(日本が中国に)武力行使すると書いてあったら、そりゃあちらさんも仰天して激怒しますわ。政府は中国政府に、総領事の引用記事が誤報であることをしっかり説明すべき。」

これらの反応は、メディアの言葉一つが国際関係に与える影響の大きさを物語る。火のないところに火を点けるような見出しが、経済制裁という実害を生んだ点が、ユーザーの苛立ちを増幅させたようだ。

小林区議の指摘は、単なる一議員の声ではなく、SNS時代にメディアの責任が問われやすい現実を映し出している。

■小林ゆみ(こばやし・ゆみ) 1988年10月25日生まれ。北海道出身。東京都杉並区議会議員11年目。東京外国語大学ロシア語専攻卒、元信託銀行総合職・予備校講師(英語、現代文、古文)。男児2人の母。著書に『君が代を歌えなかった私が、政治を目指した理由』(ワック出版)。