「STARTO社」グループ復活で「紅白」の出場基準は変わる? 番組テーマ「つなぐ、つながる、大みそか」の影響で出場に黄信号の歌手も
「つなぐ、つながる、大みそか」 大みそかに放送する「」の司会が6年ぶりとなる綾瀬はるか(40)、3年連続の有吉弘行(51)、今年の連続小説朝ドラ「あんぱん」でヒロインを演じた初司会となる(28)、同局の鈴木奈穂子アナウンサー(43)の4人に決定したことに加え、番組テーマが「つなぐ、つながる、大みそか」に決定したことが発表された。 司会者が決まった後にやってくるのは、恒例の出場歌手予想である。すでに複数のスポーツ紙が、旧ジャニーズ事務所の性加害問題で一昨年と昨年は出場しなかった(以下STARTO社)所属アーティストが、3年ぶりに出場する方向で調整していると報じている。また、人気アニメ「ラブライブ!」シリーズ発の女性声優3人組ユニット「AiScReam(アイスクリーム)」の初出場が内定したことも一部スポーツ紙が報じた。 司会者の次に気になるのは出場歌手(番組HPより) 「NHKの山名啓雄メディア総局長は今月16日の定例会見で、STARTO社アーティストの紅白出場について言及しています。紅白出場歌手の選考基準を『今年の活躍』『世論の支持』『番組の企画テーマに合うか』の3つとし、『その基準に合えば、というところも含めて検討している』と含みを持たせていましたが、すでに音楽番組でSTARTO社の所属タレントの起用を再開しており、紅白復帰は自然な流れとみられていました」(音楽業界関係者) 各紙の記事によると、STARTO社の出場グループは若手グループを中心とした2、3組になりそうだというが、出場すれば“ラスト紅白”となるあのグループは、別枠になりそうだという。 「来春のコンサートツアー終了後に活動終了を発表している嵐は特別枠だそうです。そうなると、今の人気ぶりからして、、グループ改名後の新メンバーオーディションが話題で人気急上昇のtimeleszの3組になりそうですが、は年末と年始にドームツアーの公演を控えているので、大みそかは昨年同様、生配信を行うのではないでしょうか。そうなると、とtimeleszの2組が白組として出場する可能性が高いと思います」(同前) 昨年の紅白第2部(午後9時から2時間45分)の関東地区の平均世帯視聴率は、前年比0.8ポイント増の32.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)で、2部制となった1989年以降、過去2番目の低さだった。午後7時20分からの第1部は前年と同じ29.0%だったが、STARTO社勢の紅白復帰による上積みが期待できそうだという。 「特に嵐は09年の紅白初出場から、活動休止前最後の出場となった20年までの間、10年、16年、20年の3回、歌手別視聴率トップを獲得。ほかの年でも、いずれも歌手別トップ10入りするほど数字を持っています。ほかのグループも今年の勢いや人気ぶりからして、高い視聴率をたたき出すはず。やはり、紅白にSTARTO勢の力は欠かすことはできないのです」(スポーツ紙記者) また、AiScReamは、1月発売のデビュー曲「愛スクリ~ム!」が若者の間で流行し、先月時点で関連動画のYouTube総再生回数は175億回超。曲自体も人気となり、(定額聴き放題)の再生数は、ヒットの基準とされる1億回を突破する活躍ぶりだ。 つまりSTARTO社の各グループもAiScReamも、山名メディア総局長が定例会見で選考基準としてあげた「今年の活躍」と「世論の支持」はしっかりとクリアしていることになる。 選考基準はどこにあるのか? 「ここ数年の出場歌手選定に際し、具体的にどのあたりを選考基準にしているかというと、まずはハッキリと数字の出ているCD・配信の“売り上げデータ”です。また、SNS全盛のなか、歌詞やダンスが流行るなど“社会現象になったか”どうかも、YouTubeや各SNSの再生回数などでハッキリ表れています。特に配信やSNSを参考にするようになったのはここ数年のことです。以前はとにかく『NHKへの貢献度』とCDの売り上げが重視されていました。また、『今年も紅白で見たい歌手』のアンケートもしています」(長年紅白に関わっていた元NHK職員) 特定の芸能事務所との癒着も報じられた、紅白に関わったチーフプロデューサーによる巨額の制作費着服事件が発覚したのは2004年のこと。同年の「第55回NHK紅白歌合戦」では、出場者選考の透明性が求められたため、紅白に出て欲しい歌手のアンケート結果を公表した。 その結果、紅白両軍で公表された上位15位までのうち、紅組では2位の宇多田ヒカル(42)、3位の柴咲コウ(44)12位の松田聖子(63)、白組は2位のSMAP、6位のサザンオールスターズ、12位のMr.Childrenの6組が最終的に出場しなかった。 「毎年、結果を公表すればいいと思う人が多いかもしれませんが、実はそれにはデメリットもあるのです。04年で言えば、2位のSMAPは表向きには『この年はヒット曲がなかった』という理由で辞退しましたが、氷川きよし(48)が1位で、SMAPが2位という結果に納得できず。1位だったら普通に出場していたでしょう。アンケート結果を迂闊に公表すると、SMAPのような歌手がいないとも限らないのです」(同前) そして、何よりも一番肝心なのが、今年のテーマに沿った楽曲かどうかだという。今年のテーマは「つなぐ、つながる、大みそか」。 NHKはテーマ発表時、その理由を《これからの100年も素敵な音楽が私たちをつないでくれますように…そんな願いが込められている》《紅白歌合戦は時代、世代、性別、言葉、人種の壁を超えつなぐ、つながる番組でありたい》としていた。 この掲げたテーマに沿うと、「後世に歌い継ぐ」、「ボーダレス」、「SNSから世界につながる」などの思いが込められている曲が歌唱曲となりそうだ。 「実は、このテーマが厄介。多くの視聴者は、出場歌手がその年に出したヒット曲を歌うと思っていますが、そうではないのです。テーマに沿っていなければ、その年のヒット曲ではなく、過去のヒット曲歌唱もありなのです。同じヒット曲を何度も歌っている歌手が多いのもそのためです。その反面、ヒット曲が歌えないため、紅白から遠ざかってしまった歌手も少なからずいます」(同前) 演歌は厳しい…… 昨年まで10年連続で出場を果たしている演歌歌手の三山ひろし(45)は毎年、特技のけん玉を生かし、連続でけん玉の技「大皿」を成功させるギネス記録の更新に挑戦し続けており、もはや、歌唱よりも記録更新に注目が集まっている。 「あの企画はどのテーマでも合うので、特に問題になりません。18年と20年には歌手別視聴率でトップ10入りするほど注目度がありましたが、そろそろ視聴者に飽きられているかもしれません」(同) さらに、三山も含む演歌歌手勢にピンチが訪れているようだ。 「昨年の演歌勢は三山、常連石川さゆり(67)と坂本冬美(58)、初出場の新浜レオン(29)ら史上最少の6組にとどまりました。今年は特に紅組に有望な歌手が多いので、天童よしみ(71)、山内惠介(42)は落選して4組なるのではとみられています」(先の記者) 選考基準やテーマも大事だが、演歌を心地よく聞きたい中高年が、1年の最後に安心して視聴できる番組ではなくなりつつあるようだ。 デイリー新潮編集部
