
高校時代には映画誌のを毎月愛読していたという菊川怜
公開中の映画『種まく旅人~醪(もろみ)のささやき~』で15年ぶりとなる映画出演を果たした菊川怜(47)。才色兼備でどこか“完璧”なイメージもある菊川だが、三児の子育ての最中は「“やることが多すぎてこなせるかしら”と切羽詰まると、テンパっちゃいました」と明かす。そんな時、「自分で自分を励ます方法」を語ってくれた。
映画雑誌を愛読し、年賀状にはトムの顔
日本酒をテーマにした物語の舞台は、兵庫県の淡路島。島の老舗酒蔵で実際の酒造りを再現するシーンもあり、日本酒好きの菊川は「製麹をする麹室はとても暑くて、“私たちが日本酒になっちゃう”と冗談を言い合うぐらい、撮影で汗だくに。ひとつひとつの工程にどれほど精魂、愛情が込められているかを実感して、これからはより一層、お酒が沁みそうです」と語る。
今作で15年ぶりの映画出演を果たした菊川はもともと映画好きで、高校時代には映画誌の『スクリーン』『ロードショー』『ムービー・スター』を毎月愛読していたという。雑誌でお勧めの洋画ビデオをレンタルして観るのが、休日の楽しみだったそう。
「トム・クルーズ、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットが好きでした。当時は年賀状をプリントゴッコで“カシャーン”と手作りしていて、トム・クルーズの年もありましたよ。映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の画像をコピーして落とし込み、顔だけドーンとプリントして、余白をキラキラのゴールドで埋めました。はがき一面にトム・クルーズの顔で“Happy New Year!”って、届いた人は意味がわからないですよね(笑)。ユニークな年賀状を送るのが大好きで、ダジャレの年賀状など、毎年気合いを入れて作っていました」
今は「まったく作らなくなった」という年賀状の想い出を振り返った。ちなみに高校時代は、邦画のスターにも“推し”がいたとか。
「ふふっ。そうなんです。ドラマ『高校教師』をきっかけに真田広之さんのファンになって。雑誌か新聞に載っていた真田さんの顔写真を切り抜きして、定期入れに忍ばせていました」

15年ぶりとなる映画出演を果たした
カルピスを飲んで自分を励ます
三児の子育てをしながら芸能活動も精力的に励む菊川に、最近の“推し”を聞いた。
「最新のエンタメにはついていけていないんですが、あの曲が好きです。『ケセラセラ』(Mrs. GREEN APPLE)。パッと耳に入ってきた時にサビの歌詞が響いたんです。聴けば元気になれますし、眠い朝とか、ちょっと気張りたい時には自分で歌ってみたりもして」
世間的には“才色兼備で完璧”なイメージもあるが────。
「いやぁ、完璧にはできていないですね……。“やることが多すぎてこなせるかしら”と切羽詰まると、テンパっちゃいます。うわーっとしゃかりきになって、余計せわしなくなっている(苦笑い)。対処法は、とにかく頑張ることしかない。
子どもの頃は親に甘えたり、当たったりもできたけれど、大人になると弱音を吐く場所がないですよね。だから、自分に弱音を吐いているかな。“大丈夫かな、できるかな”“今までできたから大丈夫!”と、自分で自分を励まして、立て直すんです」
それでも元気が足りない時は、“なつかしのあの味”に助けられているとか。
「白いカルピスです。“今日も一日頑張らないと”という朝や、“疲れているけれど、ここからまたひと踏ん張りだな”という夕方に、ちょっと飲むんです。今年の夏、久しぶりにお世話になって、やっぱり好きだな、おいしいなって」
癒しがほしい時にはちょっと濃い目に、子どもたちとがぶがぶ飲む時にはちょっと薄めに。自分時間にも、家族時間にも、ささやかな甘いごほうびが菊川を満たしている。
【プロフィール】菊川 怜(きくかわ・れい)/1978年生まれ、埼玉県出身。東京大学工学部建築学科卒業。97年、大学在学中にスカウトされてモデルデビュー、1999年に女優デビュー。『情報プレゼンター とくダネ!』(フジテレビ系)サブ司会、『真相報道 バンキシャ!』(日本テレビ系)でキャスターなどマルチに活躍。主演映画『種まく旅人〜醪のささやき〜』が全国公開中
写真は「WebLEON 美しい人」(主婦と生活社)より
撮影/野口貴司
取材・文/渡部美也
プロデュース/Kaori Oguri